彼女のシャッターチャンス

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「なかなか来ないですね、先輩」

「うーん……」

「ってか本当に居るんですか、下駄箱の前でチョコ渡す女の子なんて」

「居る! ……はず」

放課後の玄関口。あまり不自然にならないように立ち話を装って、『チョコレートを渡す』という、普通に撮ったはずなのにピンク色に見える瞬間を狙って僕らは待っていた。そう、今日は世の女の子たちが妙にいじらしく見える、バレンタイデーなのだ。

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独男のグルメ 第3話「近所のスーパーのまぐろのすき身(特売)」

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第3話「近所のスーパーのまぐろのすき身(特売)」

久しぶりに作ったので文体がなんとも安定してないです。でも意外と当日思い立って4時間くらいで作れたのでこれからはもっとペースを上げて公開出来そうな気がします。ネタは多々あるんです、えぇ。

<素材を使わせていただいたサイト>
・フリーBGM・音楽素材MusMusさま http://musmus.main.jp/
・On-Jin ~音人~さま http://on-jin.com/
・LemoNovelさま
 http://www.le-mo.jp/lemo/products/LemoNovel/index.htm

れげーぶ! 第12話「雨の日の彼女たち」

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「やっぱ最初はトードマンでしょー」

「えー、E缶考えるとスカルマンだよ!」

わいわいと2人が盛り上がるのを、少し後ろから眺める。今日のゲームは『ロックマン4』らしいが、私はアクションが得意じゃないし、何より今日は小説を読もうと決めているのだ。2人には悪いけれど、置物になろう。……もっとも、私が黙っていても全然気にしないんだろうけど。

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種と枝葉

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集落から少し外れた場所にある山道の途中の大きな楓の木に槍を立て掛け、その場に腰を下ろす。
私の一族にとって各々の持つ槍は命というか、自らの存在の証明というか、そういったものだから大切に扱うようにと言われてるので、こんな風に扱うと他の仲間から怒られそうだけど、私にはその感覚がいまいち理解できない。
でもまぁ、ここはめったに誰かが来るような場所でもないし、たぶん大丈夫だろう。

木の根元に腰を落ち着けた私は左から右へと目線を運んでいく。
この場所は少し視界の開けた小さな丘のような場所になっていて、私の暮らしている集落も良く見えるお気に入りの場所だ。特別に思い入れのある場所というわけでもないけれど、仕事の合間とか集落に帰る前とか、気がつけば足を運んでいるような気がする。

眼下に望む集落では私の仲間たちがあれやこれやと忙しなく動いてるのが遠目に見える。

一度立ち上がって伸びをした後、私は木陰の下の草の生えた所に寝転がった。
背中に当たる草の柔らかい感触が心地よい。
空は雲一つ見えず、木々の葉の間からゆらゆらと除く木漏れ日が眩しかった。

どのくらいの時間そうしていただろうか?
風の音にざわめく木々の葉の音を聴きながら目を瞑っていると、先ほど槍を立て掛けた木よりも少し離れた辺りから、ふいに声を掛けられた。

「やっぱり、ここに居たのか。また考えごと?」

「…………」

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