水滴

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「取れないな……」

フロントガラスに付いた黒い水滴の後。
どれだけ洗っても取れないが、それがなぜなのか、薄々分かっていた。


先日車でドライブしていた時のことだ。○○町にあるトンネルを抜けようとした時、「ボタボタッ」と上から何かが垂れてきた。ちょうど雪も降っていたし、きっと天井から水が伝って落ちてきたのだろう。ここもボロいもんなぁ。そう思って天井をちらりと見上げた。

――天井には、人の形をしたナニかが、四つん這いでたくさん蠢いていた。運転中だったし、姿をよく見ようとは思わなかったが、大きく裂けた口から時折何かが溢れ落ちるのを見た。


「やっぱり、あの時のそれだよなぁ……」

あれからあのトンネルは通っていない。
車も段々気持ち悪くなってきたので売り払った。

あの日見たあれは、何だったのだろうか。


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冬だけど!ちょっとホラーに!
こういう得体の知れないナニカ系はやっぱりキモいビジュアルがあってこそ輝く感じがしますねぇ(チラッ

(書いた人: )

One Comment

  1. アロルノ |

    うふ、うふふ。よいですね、シンプルでオチの無い感じ。
    不気味ビジュアル描けるようになりたいですね…いやとにかく描いてみるべきか。

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