PS6専用ソフト『魔王決戦』

BY IN 小説, 週代わり企画 3 COMMENTS

週代わり企画1周目
毛糸です
夏までは個人的にキャラクター強化シーズン
あと夏のイベントには音楽作ってCD出したいです
ドテチンも巻き添えで出したい
いや、出します

今回はキャラクターの魅力を出す練習にショートで一本書きました
遠慮なく批判、評価ください
むしろ全員強制でください



・キーワード
  読者のしたいこと、許せないこと(共感)を意識
  人間関係が大事

・アイデア
 死んだ異性への愛(?)が動機
 愛を歪んだ形で実現してしまったのちの姿
 嫌いなものを嫌いと言う、ぶっ潰す
 幸せになる為に全力
 金の為に全力
 金に全く執着がない
 恥ずかしがり
 人間関係を欲する
 認められたい
 満足したい
 他人と違いたくない、違いたい
 集団の力に、個の力で抗う 進化に抗う
 自由を嫌がる
 価値の低い文化に真剣にとりくむ
 社会的絶対悪
 次世代に何かを残したい
 ラスボスを倒したくない
 誰が悪いかハッキリさせたい
 本当は悪いものなんてないんじゃない?
 反省したい、反省するための絶対的な価値観
 何もないけど幸せ、社会の価値観にとらわれないけど自信家

・練習

テーマ ラスボスを倒したくない、で共感できる主人公男勇者
     死んだ異性への愛が動機の仲間A男戦士
     認められたい仲間B女魔法使い


『魔王決戦』

勇者「この先が魔王の部屋か……。今ならまだ戻れるぞ?」

一時の休息を終え、三人の冒険者は大きな扉と向かい合っていた。青銅の盾と伝説の直剣を携えた男勇者、2メートルはあろうかという大戦斧を背負った大柄のおっさん戦士、金属製の杖と木製の杖を持つ女魔法使い。長く険しい冒険の末、遂にたどり着いた魔王の城。その警備を突破し、体力も残りわずかとなった三人だが、その顔には迷いはなかった。勇者の言葉に戦士と魔法使いは、最後になるかもしれない自分の言葉を選び、返した。

戦士「俺は恋人の敵を討つためにここまで来たんだ。今更迷いはしない。……でも本当は分かっていたんだ。あいつは、俺が危険な旅をすることなんて望んでない。俺は俺の為に魔王を倒す。もし魔王を倒せたら、それから本当にあいつのためになることを考えていこうと思う。だからもうちょっとだけ、一緒に戦ってくれ」

魔法使い「あたりまえじゃない。実は私も、自分がこの旅に出た本当の目的、分かっちゃったしもう満足してるんだよね。最初はお母さんとお父さん、村の皆に一人前だって認めてもらいたかった。魔王を倒して凱旋すれば、ぜーんぶ解決ってね。でも全然違った。勇者と戦士は私のことを認めてくれてる。……それもちょっと違うかな、なんていうか、二人の前ではそんなことどうでもいいって感じになれたから。だからもう分かっちゃったの。お母さんとお父さんに認めてもらってないって思ってた自分がもう、いなくなっちゃったんだって。だからここから、この先は、二人のために戦うことにする。だから戻らないよ」

二人の言葉に背中を押され、勇者も「最後」の覚悟を決めた。勇者はこの世界の人間ではない。「地球」という星から来た、「ゲーマー」という人間だ。しかし既にこの世界でいくつもの村を救い、幾人もの人を救い、命を懸けるだけの動機を、この世界への愛を持っていた。

勇者「ああ。俺も最初はワケも分からず無責任に始まった旅だったけど、今は違う。命に代えてもこの世界を救ってみせる。それが俺の存在価値だったんだ」

戦士「縁起でもないことを言うな。……死ぬってことはそんな単純なことじゃない。必ず全員で生きて帰るぞ。いいな?」

魔法使い「そうだよ! 絶対死んだらダメなんだからね! 勇者はそうやって自分を大事にしないから……。もし勇者が死んだら、私は一生死ぬより辛いからね! バカなこと言わないで!」

二人が真剣な表情で勇者を諭す。勇者にとってはこれが本心だ。勇者が見知らぬ星にやってきてから今まで、この旅で得たかけがえのない本心だった。しかし仲間に心配をさせることは本意ではない。勇者自身も、二人が死ぬ覚悟だと言ったら同じように言っただろう。

勇者「そうだな。悪かった。ここまで来たんだから絶対に生きて帰ろう。俺ももっとこの世界のことを知りたいんだ。この世界にエンディングなんてないんだからな」

勇者「いくぞ!」

 ―――――

戦士「でやああああ!」

 ザシュッ!

魔王「ギャァァァァァ!!!」

勇者「よし、やっとモロに入った!」

魔法使い「でも魔王の正体が、人間だったなんて……。本当に殺しちゃっていいの!?」

戦士「そんなことを考えていたらこっちが死ぬぞ! 確かに魔力の防御がなければただの人間のようだが、今までコイツがやってきたことを考えろ! 中身もとっくに人間じゃなくなってる!」

勇者「そうだ! まだ結界を緩めるなよ!」

魔法使い「うん……」

(勇者よ、聞こえるか…)

勇者「!?」

突然勇者の頭の中に、何者かが語りかけてきた。

魔王(この私がここまで苦戦するとは……まさか貴様も地球から来た勇者なのか…?)

勇者「なんだ!? お前が話しかけてきているのか!?」

戦士「おい! 勇者! 突然どうした!? 早くとどめを……」

魔法使い「どうしたの!? まさか魔王と会話を…!?」

魔王(そうだ。この声が聞こえるということはやはりお前も地球から来たのだな。お前に伝えなければならないことがある。聞け)

勇者「なんなんだ一体! お前「も」とはどういう……」

魔王(お前が私を倒せばお前は地球に強制的に戻される。お前がこの世界へやってきた時から地球の時間は止まっている。この世界での記憶だけはそのまま、何事もなかった様に地球での暮らしが再開されるのだ)

勇者「なんだと…!?」

魔王(これは事実だ。私もお前と同じ。勇者としてこの世界にやってきて魔王を倒したが、完全に地球に帰される前に自ら新たな魔王となり、この世界に留まったのだ)

勇者「ふざけるな! なぜそんなことを!」

魔王(お前も私を倒せば分かる……。自分が本当は何のために戦ってきたのか。今ならまだ間に合う。ここは一旦引け。私が世界中の村に再び眷属を巻き散らかし、お前がそれを倒し続ければ私もお前も、この世界に居続けることが出来る)

勇者「バカな! そんなことをするわけがないだろう!」

魔王(まだ気付かないのか……。私を倒せば、この世界はエンディングだ。もう二度とこの世界を訪れることも、その後を知ることさえできない。そこにいる二人とも、もう二度と会えないのだぞ。命を懸けて救いたいと思った世界は、夢とも区別のつかない妄想となるのだ)

勇者「…!! それは……」

戦士「勇者! なんだか分からんが惑わされるな! その剣でしか止めは刺せんぞ!」

勇者「あ、ああ。……なあ戦士、お前、魔王を倒したらどうするつもりなんだ?」

戦士「……その答えが、今、必要なのか? ……分かった。答えよう」

魔法使い「ちょっと勇者! 何言ってるの!? 戦士も何まじめモード入ってんの!?」

戦士「大丈夫だ、落ち着け魔法使い。まだ魔王は動けん。今は勇者を信じるんだ。俺たちに出来るのはそれだけのようだ」

魔法使い「……戦士が言うなら……。言っとくけど私のほうが勇者を信じてるんだからね!」

戦士「はいはい、分かってますよ。……勇者よ、俺はまず、あいつの墓参りに行く。……実は勇者にも一緒に来て欲しいと思ってる。何ていうか、あいつが死んでから一度も顔を見せてないんだ。今さらどんな顔をして会いに行けばいいのか分からないんだよ。俺の都合で勝手に行かなかっただけだからな。恥ずかしい話だが、一緒に来てもらえれば自信がもてるよ。その後のことはそれから考えるべきだと思ってる」

勇者「そうか……。魔法使いはどうだ? 魔王を倒したら、何がしたい?」

魔法使い「わ、私は戦士みたいな目的なんてない……。でも、村の皆に今の私を見せなくちゃダメだと思う。お母さんとお父さんにも……。私は皆に認めてもらってないって思ってたけど、それは自分勝手な思い込みだったんだと思う。きっと私が皆の事を認めてなかったんだ。だから、謝りはしないけど、今の私を見せて、自分勝手だった昔の分、筋を通して清算したいの。それから、皆と本当の人間関係を作っていきたい。……あと……勇者さえよければ、だけど……あの……わ、わた、私と……!! …………ううん。戦士と勇者と、ずっと三人で一緒にいたい!」

戦士「……」

戦士はあきれたような、申し訳ないような表情を浮かべたが、何も言わなかった。時間と平和が解決してくれるはずだと、信じているからだ。勇者はそんな二人を見て、もう一度考えた。自分の本当にしたかった、したいことは何なのか。

勇者「ああ、そうか……。俺の目的……。この世界を救うこと……。俺は、ただ、命より大切なものが欲しかったんだ」

勇者「魔王よ。聞いてくれ」

魔王(二人に聞かれてマズいことなら、お前も頭の中で会話するがいい……フフフ……私ももうじき傷が癒える。魔法使いのMPが切れたら、撤退――)

勇者「お前の言っていることは理解した。だが、俺は地球へ帰ることにする」

魔王「な!? なぜだ! 命より大切なものを、生きたまま失うのがどんなに辛いかっ――」

戦士「勇者!? 地球へ帰るとはどういうことだ!?」

魔法使い「え? 帰るって……なに……うそでしょ……? だって、え…?」

勇者「二人ともすまない。でも、俺の命より大切なものは、なくなったりはしない! 失われたりしない! そうだろ?」

勇者はうろたえる二人にそう言って、「最後」の覚悟を決め、魔王に止めの一振りを突き刺した。

魔王「グォォォォォアアアアア!! このバカ! バカ!! 後悔しろ! 一生後悔して生きていけ! アホ!」

戦士「勇者!」

魔法使い「勇者! 待っ――」 

 ―――――

気付くと俺は自室のテレビと向かい合っていた。手にはゲームのワイヤレスコントローラーが握られている。本当に夢を見ていたみたいだ。記憶が残っていたって、そんなものは妄想にすぎないという魔王の言葉がよみがえる。思っていたよりも一気に頭が現実を受け入れていく。それと同時に失われていくのは現実感。いや、もうあれは現実ではないか。幻想感と充実感が手からすり抜けるように失われていく。

「あれ……」

いつの間にか目から涙が流れ出ていた。頭の中は悲しみで震える部分と、なぜ自分が泣いているのかが分からないで冷め切っている部分に分かれている。

ん…? いつの間にか、テレビに文字が浮かんでいる。

→・強くてNEWGAME 新たな魔王となり、世界を征服します
 ・END

ああ。

 ・強くてNEWGAME 新たな魔王となり、世界を征服します
→○END

(書いた人: )

3 Comments

  1. トミー |

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    設定は面白いなーと思った
    むしろ実際にゲームにして、やたらボスはえーなと思わせておきながら実は最後にこんな選択肢が出てきて、今度は魔王サイドになるゲームだったら面白いかも。ってそういう意図でこのタイトルかw
    表現的には入りがちょっと説明的すぎるから読み始めるのに力が要るかも。最初は戦ってきた理由を匂わす程度にして、戦闘中に本心を叫ばせるような感じにするとか?
    あと春色ノートの時もちょっと感じたけど、溢れ出る感情は伝わるんだけど文章に強弱が無いというか、直線的に感じる。印象的な文章で短く魅せることで読みやすさにも繋がるし、リズムが変わっていいんじゃないだろうか。だじんぽっぽちゃんが前言ってた「そつが無い」っていうのも確かにあるかもと思った。文章に無駄が無さ過ぎるからこういう風に感じるのかも。
    目の付け所はやっぱり特殊で面白いと思うから、掴みと何を描写するべきかの取捨選択さえ上手くしていければかなり良くなるんじゃないだろうか
    あとドテチンは自分なりのキャラの作り方を書いてたから俺は雰囲気作りの話をば。俺はいつも書くときこのBGMが似合うようなのを、と思って書いてるよー。そういう風にバシッとテーマを決めるんじゃなくて、こんな感じかなーという具合に書くのもいかがか。「ジムノペディ第一番」とか「あこがれ/愛」とか似たような傾向ばっかり思い浮かべるからどれも似たような話になるんだけどw
    あとはコレオススメ。才能のカマタリ
    ■一番続きが読みたくなるような物語の冒頭書いた奴が優勝
    http://digital-thread.com/archives/4140005.html

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  2. ナリマサ |

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    設定を見るとSFCの『ライブアライブ』っていうゲームを思い出しました(・ω・)
    キャラクターの書き分けはしっかりできているし、文章も取り立てておかしな部分は無いので、その辺りは問題無いと思います。
    気になる点としては、状況説明やキャラクターの心理描写が直接的すぎるような印象を受けた部分があったことです。
    敢えて、直接的な記述を避けて、表情や動作のみで感情を伝える部分を増やしても良いかもしれません。読者自らが想像する余地を残すことを意識してみるとより魅力的な作品になるかと(・∀・)
    着想などは個性的で素晴らしいものを感じるので「調理」の仕方を工夫して行くのが良いかもです♪

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  3. アロルノ |

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ああ、好きよこういうのw メタな感じと言うか変わった視点からの発想が!
    そんなに文章を沢山読んだ事のない俺が言える事は大して無いんだけれども、
    セリフがちょっとくどいのかなって感じはしたかな?
    具体的には、初めの3人のセリフがそれぞれ長くて
    説明的過ぎる感じといいますか。まあセリフだけで情景説明してるから
    そうならざるを得ない所もあると思うのだが、難しいわね(・ω・)
    俺はあれだな、かまいたちの夜の「釜井達の夜篇」思い出した。

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