長月の快然たる鎮守府生活 番外編『資源運用講座1』

BY IN 小説, 艦これ 0


 ――とある鎮守府、艦隊司令官室

長月「司令官、最近鋼材の減りが少し早いようだぞ。他の資源と比べて現在28%の偏りがあるな。……おい、起きろ、司令官」

提督「……へ? あー……」

司令官室の片隅、立派な執務机を全く無視する形で畳が敷かれた一角。二人はそこに置かれたコタツに入って資料を囲んでいた。と言っても提督の方は先ほどまで資料を枕によだれを垂らしていたのだが。

長月「全く……そんなところで寝て風邪を引くぞ……。鋼材だ鋼材! 最近減りが早いんだ」

提督「あー大型建造最小値で回してるからな。まーまだ大丈夫っしょ?」



長月「ん……まぁ確かに差し当たって問題はないが……」

提督「とは言えこのままだとバランスが崩れる一方か。長月、調整頼むわー」

長月「……おい、ケッコンっていうのは家計管理をやらせる相手を雇う行為だったのか?」

提督「まぁ一般的にはそこまで間違ってはいない?」

長月「そうなると同時に提督のサイフの紐も私が管理することになるが」

提督「そ、それは困るね……」

顔だけは長月の方へ向きながらも未だに資料を枕にしていた提督であったが、その言葉に頭を持ち上げて背筋を伸ばした。

長月「だったらやる気を出せ。というか私はそういうのはからっきしなんだ……任されても困る。三日月あたりならそういうのも得意そうだが」

提督「うーん……じゃあ調整スケジュールを立てるついでに『資源運用講座』でもいってみようか? 楽したいっての抜きにしても、長月にも俺のやり方をなるべく理解してもらってる方が助かる。後々何があるか分からないしな」

長月「……そうだな。確かに今はまだ油断していい時ではないか。それならば私も真剣に取り組ませてもらおう」

提督「かたいかたい! もうちょっと肩の力抜いて行こう。皆は俺が絶対に守るから……」

長月「私だって司令官や皆を守る。私は前線に出る分、多少の硬さは許してくれ」

提督「……そうだな。よし、じゃあ気を取り直していってみよう!」






☆『資源運用講座その一 基礎知識編』



提督「まずは基礎知識だな。資源は燃料・弾薬・鋼材・ボーキサイトの四種類。主に出撃、建造、開発、入渠に使用することになる」

長月「……それくらいは分かるぞ」

提督「わ、分かってるからそんな顔するなって……何事も基本が大事ってこと! じゃあ次に資源を使うタイミングだ。『溜める』と『使う』という選択肢があるけど、そのバランスはどうするべきだと思う?」

長月「ん、うーん……資源を使い果たしてしまうと出撃もできなくなってしまうから、とりあえず使い切ってしまうことは避けた方がいいと思う。任務の達成に支障をきたすからな」

提督「俺もそう思う。じゃあ溜めるの方は?」

長月「……基本的に溜めて悪いことはないと思う。しかし資源が豊富にあったところで『今日100回出撃しろ』と言われてもそれは無理な話だ。普段からある程度使っていくべきだとは思う」

提督「それも同意だね。もし資源が豊富にあっても、装備開発以外の建造・出撃・艦隊の錬度は一朝一夕ではどうにもならない。それを普段から準備しておくことが大切だ」

長月「ではそれをないがしろにしない範囲で資源を溜めるのが理想ということか?」

提督「俺はそうやってる。ただし考えなくちゃいけない点があと二つある」

長月「ほう、なんだ?」

提督「まずは『自然回復』。我々が海軍として得た資源は本部の裁量で再分配される。この鎮守府では燃料・弾薬・鋼材が一分につき1、ボーキサイトが三分につき1支給される」

長月「ありがたい話だが……それで何を考えなければいけないんだ?」

提督「その中央の再分配の基準なんだが、各鎮守府が一度に使える資源の量には限りがあるのはさっき言った通り。それ以上は資源の持ち腐れと判断されて支給されないことになっている」

長月「……ケチ臭いな」

提督「そんなことはない。限りある資源を有効に使うためには間違った考え方じゃないさ。ちなみに各鎮守府が一度に使える資源の量、というのは提督レベルというもので数値化されている。まあ経験を積んだ提督なら資源の運用も上手いだろう、って考え方だな」

長月「あー……戦績のところに書いてあるやつか!」

提督「そうそうそれそれ! そういうわけで、その数値以上に資源を溜めると支給されるはずの分だけ損ということになるわけだ。もちろんそれ以上の資源を運用できる自信があるなら備蓄するのも大いにアリだな」

長月「……しかし私はそれは少し不安だな。艦隊の錬度はいくらあっても安心など出来ない。なるべく多くの資源を錬度向上へ回すべきだと思う」

提督「それも一理ある。俺もそう思うから、いつも上限をこえないように艦隊の強化に使ってるわけだ」

長月「なるほど。それは分かった。さっき二つと言っていたが、もう一つはなんだ?」

提督「ああ、もう一つは『資源のバランス』。長月が言ったように今ウチは鋼材が少ない。こうなるとどういうことが起こるか分かるか?」

長月「……まぁしばらくは大丈夫だが、もしどんどん各資源を同じ速度で使っていくと、鋼材だけ先になくなってしまうことになる、よな?」

提督「そう。出撃か建造か開発かによっても違ってくるけど、どの資源も先に枯渇する可能性がある。そうなると今のウチの行動可能な範囲は『一番多い燃料に合わせた25000』ではなくて、『一番少ない鋼材に合わせた18000』ということになるわけだ」

長月「……なるほど。資源の使用目的がはっきりと定まっている時以外は各資源はなるべく偏りがないように溜めたほうがいい、ということだな?」

提督「その通り。と言うわけで、基礎知識はここまで。次は『使用編』いくぞ?」

長月「ん? 順番的に『備蓄編』ではないのか?」

提督「うーん……溜めてから使うからそう考えたいところだけど、さっき長月が言ったように、まずは『資源の使用目的』が大事なんだな。『溜まりやすい資源を使う』じゃなくて、『使いたい資源を溜める』という順番で考えることにする」

長月「そういうことか……。分かった。では次も頼むぞ、司令官!」




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たまには攻略記事でも
こういうゆっくり頭使って効率上げるゲームって結構好き
でも長月がいなかったらここまでハマってないだろうなぁ
あ、ケッコンネタはもうちょっと待って……

(書いた人: )

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