星空レリーズ

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「星を観に行きましょう!」

ちょっと勇気を出して、一つ年上の先輩を誘ってみた。返事はOK。



2人きりで夜の山に登るなんてあまりに青春っぽくて、息は絶え絶えだけどニヤけ顔が治まらない。
ゆっくりと、昔見た映画とか嫌いな教授の話とかで盛り上がりながら歩く。
30分くらいだろうか、そうこうしているうちに目的の場所に着いてしまった。

「さすが山の上!星がよく見えるなー!」

普段から少し子供っぽい先輩が本当の子供みたいにはしゃぐ。
でもそれくらい、この山の頂上から見る星空は綺麗なのだ。

一しきり空を見上げたあと、私はこの日のために用意してきたものを取り出した。

「お、一眼レフか。そういや写真好きだったな」
「いえいえ先輩、そもそも写真撮りに山に来たんですから。先輩は熊よけですから」

2人して笑いあう。
三脚をセットして、マニュアルモードにして、シャッタースピードをバルブにして…そして大事なコレ。

「先輩、お願いがあるんですけど」
「なに?」
「コレをずっと押してて欲しいんです」

カメラに繋いだ、ボタンが付いたケーブルを渡す。

「レリーズっていって、シャッターをそのボタンで押せるものなんですけど」
「ほう」
「星空って暗いので、ずっとシャッターを開けっ放しにしないとならないんです」
「それくらいなら全然オッケーだよ」
「本当ですか!やったぁ!じゃあお願いしますね!」

最後にちゃんと画角を確認して、先輩にシャッターをお願いした。カシャ、と音が響く。

「しかしこれっていつまで押してればいいの?」
「……ふふふ、先輩引っかかりましたね?」
「へ?」
「今日やろうとしてるのはスタートレイル、先輩も多分見たことあると思いますけど星の軌跡を撮影するので1回のシャッターが30分とかかかるんですよ!」
「うわ、じゃあ30分このままかよ!結構辛いなー」

「……辛くならない方法が、ありますよ」
「お、どんなの?」
「こうするんです」

そう言って私はレリーズを握る先輩の手に自分の手を重ねた。

「先輩……好きですっ!」


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ぶっちゃけレリーズのとこしか考えてなかったの…
こまくささん提案のカメラ少女モノ、ということで考えてみました。
今後も色々ネタを考えていきますよ!この話も漫画とかの方が映えるかもね!

(書いた人: )

2 Comments

  1. 土手沈 |

    短いのにキュンキュンします!キュンドテキュンキュン!
    レリーズでカードキャプターさくらを思い出したのは私だけじゃないはず!

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    • KOH |

      恐らく多くの人がさくらを思い出すだろうとは思ったけど
      特に補足説明とか画像はうpしない!っていうかレリーズ俺もってない!

      馴染み深いところで言えば小学校の頃とか集合写真撮る時カメラマンが使ってたのがレリーズなんだけどね

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