幸せになろうよ

BY IN 週代わり企画 1 COMMENT

「ただいまー」ガチャ

「! おかえ……あっ!」ガシャーン

「ちょ! お前また皿割ったのか!」

「あわわ……ごめんなさいごめんなさい!」

「ったく……なんかお前が来てからろくな事がないんだけど」


「すみませんすみません」

「食器は割る、洗濯すれば何かが破れる、メシは……まぁそこそこか」

「えへへ」

「全然そこプラスになってないから。前者2つでマイナス評価だから」

「あぅ」

「っていうかそもそもお前はなんなわけ? やっぱり貧乏神じゃないの?」

「違います! 座敷わらしです!」

「そう、座敷わらしね。……お前どこからどう見てもババァじゃねーか!!!」

「ババァじゃないです! 設定は22歳です!」

「知らねーよ! 座敷わらしってもっとこう……『わらし』なんだから子どもだろ!? 何お前!? なんでそんな老けてんの!?」 

「こういうのもいるんです!」

「水木先生に報告だよ! ……まぁいいや。とりあえず腹減った」

「はーい! 今日は唐揚げですよ!」

「おっ、得意料理で挽回にきたか。んじゃ着替えてくるから」

「あっ」

「ん? ……もしかして、いつものか?」

「……はい、お願いします」

「ったく。ほら、こっちこい」

「はーい!」

ギュッ

「はぁ……やっぱり落ち着きますねぇ」

「そうか」

「そしてやっぱり仕事帰りのこの微妙に汗臭い感じがまた」ハスハス

「仮にも神様がそんな変態的なことを言っていいのか」

「いいんです」ギュー

「……なぁ、そろそろ苦しいんだけど」

「えぇー……しょうがないですねぇ」パッ

「一応お前俺より力強いんだからそこ配慮してくれよ」

「はーい。それじゃご飯用意しますね」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・

「いただきまーす」

「どうぞ、召し上がれ」

「じゃあ早速メインの唐揚げを……うん。やっぱり美味いな」

「ふふ、ありがとうございます」

「なんだろう、衣の揚がり方もいいんだけどなんかお前が作ると肉もしっとりしてるのにジューシーで美味いんだよな」

「はい、さすが名古屋コーチンですよね!」

「……名古屋コーチン?」

「そうですけど」

「oh」

「??」

「柳田先生が言ってたんだ……『この神の宿りたまふ家は富貴自在なりといふことなり』って」

「あー、確かにそう言われてますね」

「でも俺お前が来てから貯金が減ってる気がするんだけど」

「それはほら、マイナス方向にも自在ですから」

「出来ればプラス方向にして欲しいんだけど!?」

「でもあまり大きなお金は身を滅ぼしますよ?」

「正論だなおい!」

「それにほら、お金より大事なことってあるじゃないですか?」

「お前が精神面の充実を説くのかよ! お前神様でしょ!?」

「だからこそです」エッヘン

「……はぁ。ま、お前が言うことはもっともだな」

「どうしたんです?」

「いや、お前が来る前はコンビニかスーパーで買ってきた弁当だったし」

「はい」

「知らない土地で友達も居ないから、いつも独りで飯を食って」

「はい」

「寂しいって思ったことはないけど。でもなんというか……お前が来てから」

「……」

「幸せだなって」

「……はいっ! うふ、うふふふ~」ギュー

「ちょ、まだ飯食ってる途中だってのに抱きついてくるな!」

「うふふ~これからはもーっと、幸せにしてあげますね!」


*******************************************************
なんだこれ。ということで今週からの週替りテーマは
ちょっと伝わりにくかったですが「イチャイチャ」です。

完全に願望モロ出し&どこかで見たようなシチュエーションで
途中で止めようかと思いましたがまずは書き上げることから!
もっといいのを思いついたらまた書きます。

ということで来週はアロルノ先生がイチャイチャしてくれるはずです!

(書いた人: )

One Comment

  1. 毛糸 |

    アナーキーなサキュバスを思い出しました。このノリいいですね、主人公はツッコミでテンポよく進行するし、短編で重要なアイディアがボケとして活きやすい。
    おっと、思わずババアにキュンとしそうになった自分の炉裏魂を鍛えなおす時間がきたようなので失礼します。シュタッ

    返信

コメントする