俺のばあちゃんの家は昔製鉄で栄えた某町、といっても結構田舎なんだけど、そこに中学生の時夏休みで泊まりに行ったときの話。
田舎だから周りにコンビニもないし、テレビもローカル2局しかないからほとんど見るのが無くてしょうがないから早い時間、それこそ夜の8時くらいに寝てた。で、あまりにも早く寝ちゃったせいか夜の2時ごろに目が覚めた。
寝なおそうかと思ったけど目が冴えちゃって、まぁしょうがないし星でも見ようかなーと思って外に出た。そしたらほとんど外灯もないから星空が凄い綺麗で、浮かれ気分でスキップしながら家の周りを歩いたんだ。
で、その時なんとなーく、スキップしてたせいなのか久々に”けんけんぱ”をしたくなったのよ。円を道路に描いてって、一つなら片足、二つ横並びの円なら両足を着くってアレね。
土の道路に手ごろな石で円を結構長い距離描いてって、何年ぶりかでやり始めた。
「けんけんぱ、けんけんぱっぱ」
たん たん たたん たん たん たたん たたん
深夜に一人で何やってんだろうなーっていうテンションと、綺麗な星空、月明かりに照らされた田んぼの風景が楽しくて笑いながらやってたんだ。
そしたら3周目くらいしたときかな。”けん”の状態で疲れたからふーっと空を見上げてたら、後ろから音がした。
たん たん たん って。
ぞっとした。田舎だからこんな時間に出歩く若い人なんていないし、ましてや居たとしても普通”けんけんぱ”なんてやらない。まさか、まさか何かが居る?そんな馬鹿な、俺の聞き間違いだよなって思い込もうとしたらまた
たん たん たん
って聞こえてきた。あっ、これは振り向いちゃマズいヤツだと思ってそのまま家の方向にダッシュして逃げた。
家に着いてばあちゃんの部屋で一晩明かしたけど幸運なことに何も無くて、その後も祟りとか幻聴とかはなかった。
ばあちゃんに話してみたら、多分それは一本だたらが来たんじゃないかってことだった。一本だたらと製鉄の関係は深くて、製鉄で片目をつぶって火を見るから一つ目に、足の方はたたらを踏んでどうこうっていう話なんだけど、そういうのもあってかこの町じゃ一本だたらが出るって昔から話があったんだって。
それが、1本足で楽しそうに笑ってる俺の姿を見つけて一緒に遊びたくてやってきたんじゃないか、ってのがばあちゃんの見解。
…いや、遊びたくてきたところ申し訳ないけど実際恐いわ。
305開発部ログ
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民話や伝承が絡んだ話ってバックストーリーに深みが出て雰囲気も出るから良いよね。
そして、ホラーにおける音の描写はやはり効果大ですな。
ところで、「一本だたらってどんなんだっけ?」って思って記憶を頼りに調べてみたら、自分が覚えてた話は山父だったw
この二つ、共通点も多いわけですが、この手の妖怪って似たような話が他にも色んな地域に散らばってて面白いよね。
口伝の力って凄いなぁ。
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>>ナリマサ
こういう話はテンプレ化しつつあるけど田舎には深海と同じで得たいの知れない何かがありそうな感じがあっていいよね!音につっこんでくれたのは嬉しいぜ!
一本だたらについてはちょっとググると分かるけど、世界中に片目片足の巨人の伝承があるらしい。昔は畸形児を神聖なモノとして扱ってたとかっていうのはある話だから、そういうのの一種…なのかな。
ちなみに分かってると思うけど創作ですよー!