報告と小説のようなもの

BY IN 週代わり企画 4 COMMENTS

毛糸です
報告遅れましたがなんと冬コミ受かってました!
月曜日 西地区“り”ブロック-20a
です

繰り返します
月曜日 西地区“り”ブロック-20a
です

もういいかな?
いや、もう一回だけ
月曜日 西地区“り”ブロック-20a
です!

冬に向けてよりいっそう気合が入るというものですね!
やったるで!




以下web連載用の個人的新作



 空の落ちた地球の旅

第01話 『地球の中心の草原の中心の』



人間は嫌いだ。

もう見たくない。

こうやって目を閉じて、静かにしていよう。

あの時はいつも泣いていたけど、今はもう涙が出ない。
心に穴が開いている。
きっとそこから涙が漏れて、もう僕の中には残っていないんだ。

僕は暗い闇の中を漂うだけの存在になった。
それだけが僕の望みになったから。



???「本当にそれでいいのか?」



……誰かが僕に話しかけてくる。
女の子だ。
どうやってここに入ってきたんだろう。

「こうやってるのが一番いいんだ。もう、嫌なんだ……」

僕は目を開いた。開いても目の前には何もない。闇。

女の子「そのままでもいい。もうあそこには戻らなくていい。でも、そこは寂しいよ」

声は上から聞こえてくる。
僕は上を向いた。

そこには小さな白い点があった。
光、だろうか。それにしては少し暗い。でもとても優しい光だ。

女の子「一緒に行こう。今度は私がお前の道になる」

気づくと僕は、その光に向かってゆっくりと手を伸ばしていた。






「……あ……ここは…?」

僕は見知らぬ場所で目を覚ました。
身体は横たわっている。
体中にはサワサワとくすぐったい感触があった。
……ああ、きっとここは『草原』だ。

女の子「ここは地球。おかえり、ラザ」

「ラザ? それは、何?」

女の子「それはお前の名前。私がつけた。私の名前はモノ」

女の子はモノと名乗った。僕はラザ。

僕は立ち上がった。
自分の足で一歩ずつ歩くと、靴が草を踏みしめる感覚が全身を駆け巡る。
草原を駆け抜ける風を全身で感じ、自分の手が空気を切って動く。
僕はしゃがみこんで草に触れた。

ラザ「ここが、地球……」

モノ「そう、地球だ」

不思議な気分だ。僕がここにいるなんて。
あらためて自分の姿を確認すると、僕は人間の子供の姿だった。肌は白い。
服装は白いブラウスにグレーのベストと半ズボン。まるで西洋の貴族だ。

モノは僕より少し背が高い。肌は黄色い。長い髪を後頭部で一つにまとめ、茶色の大きな布で全身を覆っている。

ふと空を見上げると、そこには赤と黒のマーブル模様が一面に広がっていた。
僕の知っている空とは違う。

ラザ「悪趣味……」

モノ「それはしょうがない。今のラザには関係ないこと」

ラザ「今は夜? それとも昼?」

モノ「もうそういうものは無い」

ラザ「そう……。じゃあもう、太陽も月も見えないんだ……」

モノ「…………」

僕は初めて今の地球の現状を知る。
……でももう、僕は関わらないと決めたんだ。

モノ「どこもこうじゃない。ここは『世界の終わり』。最後の審判が行われた後」

僕は知りたくなかったことを少しずつ知っていく。でもここに来たからには、もう知らないままではいられない。

ラザ「……世界はどうなってしまったの?」

モノ「世界は歪んでしまった。人間たちの頭の中が世界を侵食して、全てが変わった。最初は人間も昔の常識を信じていたから、そこまで大きな変化はなかった。でも『侵略者』が現れてから世界はどんどん変わっていった」

モノ「そいつらは海からやってきて、人間を殺していった。その噂と恐怖が世界中に伝播して、海は『侵略者』のものになった。人間はそれを避けて陸の奥へ奥へと逃げたけど、もう人間の恐怖は止まらなかった。人間は新しい殺戮者を次々に生み出して、自ら数を減らしていった。今では細々と一部が生き残っているだけ」

ラザ「…………」

モノ「世界は人間の恐怖に染まってしまった。もうその人間自体はほとんど残っていないのに」

モノは無表情だったが、時折どこか悔しそうな表情を見せた。

ラザ「モノは誰? なんでそれを知ってるの?」

モノ「私は私。ラザはラザ。私はずっと見てたから何でも知ってる」

モノは僕を見つめながらそう言った。モノが誰かは分からないけど、きっと信じられる。そう思ったから僕はここにいるんだ。

モノ「行こう。一緒に少し『散歩』しよう。この地球を」

ラザ「……うん」

モノは僕の手を取って歩き出した。
その手に触れられることがとても不思議で、嬉しい。
僕はモノの小さなその背中を見ながら、そう感じたのだった。



(書いた人: )

4 Comments

  1. アロルノ |

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    いい序章だ…!最初は情報も少ないが
    今後どんどん色々とわかっていくのに期待…!
    ふたりの奇妙な信頼関係というか、やりとりがいいね!

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  2. ナリマサ |

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    現段階だと「世界の終末」的な舞台のお話って感じなのかな……?
    色んな人が書くような世界観なだけに毛糸さんがどう料理してくるのかが楽しみだ( ´∀`)
    細かい部分だと、風景とかの描写力がアップしてるように感じます。雰囲気が出ててイイネ!(・∀・)

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  3. トミー |

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    「西洋の貴族」って表現をするってことはそれ相応の知識背景があるってことなのねん。ラザの今までとネーミングの由来が気になるところ。
    ビジュアルノベルで見たい…

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  4. 毛糸 |

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >>アロルノ
    まさに序章!世界観・設定を読者に飲み込んでもらうのは課題のひとつなので工夫してがんばりたいぜ
    >>ナリマサ
    今回は想像上の場所でリアリティが必要ないので、自分のイメージも形になりやすかったです。料理のテク増やしたいですね
    >>トミー
    す、鋭い…そこも含めて今回だけで誰かにネタがバレやしないかと若干ヒヤヒヤしてましたw 名前の由来は作中では明かすつもりはないですが、推理するなら大切なヒント、という感じになってます

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