友と未来を語り合った何年か前。
そして今も変わらぬ星を見る人。
その公園で街を見下ろし、星を見上げながら、何年後かのどうなっているか分からない将来について語り合うのが俺たちの日常だった。
夏は蚊に刺されながら流れ星を3回見るまでと待ち続け。
冬は寒さに震えながら、あったかいコーヒーが冷たくなるまで、分かりもしない星座を探し。
俺たちの友情は変わらず、これから先楽しいことが無かったら自分たちで作り上げ、共に苦労し歩んでいこうと憧れを零し。ここじゃ起業なんて難しいよな、なんて、いつか見ることが出来なくなるかもしれないこの景色を覚えておこうと、名残惜しくいつまでもそこに立っていたことを覚えている。
俺がまだ夢に想いを馳せていた頃。お前は彼女が出来て喜んでいた。まさに初体験という時に俺から電話があったり、趣味がどうとか、何が好きだとか、そういう話を聞かせてくれた。
イルミネーションのように変わる信号機、空に煌くオリオン。俺が見ているものは変わらなかったが、果たしてお前はあの時、何を見ていたのだろうか。
俺が理想と現実の狭間で悩んでいた頃。一足先に働いていたお前は、いつも目の下に大きな隈を作り、煙草の本数はやけに増え、公園に居る時間も短くなった。
彼女とは上手くやっている。仕事は大変だけど結婚資金を貯めている。そう言って笑うお前に、俺はとても夢の話なんか出来なかった。
あんなに煌いていたはずの星空はなんだか少し数が減ったように思う。この街も、俺が離れている間に発展したんだなと思った。そういえば、この公園の周りも家が増えたような気がする。
夢を諦めずに――いや、今。同じところに住んでいるはずなのに、会うこともめっきり減った。公園には俺一人。思い出したように、ふらりと行く程度。
温かいままのコーヒーを飲み干し。
流れ星のひとつも見ないまま。
昔の俺たちの幻影をそこに見て、俺は帰る。あの頃の俺たちは社会のこと、自分のことを何も分かっていなかった。けれどあそこでした他愛も無い話は、具体的にどんなものだったかは思い出せないけど、ただただ楽しかったことだけは覚えている。
結婚おめでとう
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