桜舞う季節。
ここ、神舞市に、今年も春がやってきた。
花は咲き乱れ、動物たちの生への歓喜の声に溢れるこの季節。
それは人間も例外なく、新生活が始まり、どこか浮足立った人々の沸き立つ声が街のあちらこちらで響き渡る。
そんな中、スマホを片手に妙に血走った目をした少年が1人。
「あたれ!あたれえええええええええええええ!!!」
(きゅぴーーーーん!)
(SR るん)
「くっそおおおおおおおおおおおおおお!なんであたんねえんだよ!!SSR御琴ーーーーーーーーーー。くっそこうなりゃヤケだ。あと3千円。今月残りの俺の食費代ぶっこんでやる!!」
俺の名は月村明斗。なにを隠そうこの話の主人公だ。
お分かりの方は分かるかもしれない。
そう、俺は、課金兵である。
この俺が、物語冒頭から食費までも注ぎ込む対象とは、今日本中で話題沸騰のソーシャルゲーム、『Giri friend(爆)』通称GFである。
このゲームの特徴とは、数多くの女の子達(男の娘含む)と仲良くなり、親密度を高めることで、仲良くなった女の子と×××できるゲームなのである。
まぁいわゆるD○Mゲーみたいな感じだろうか。ゲーム内通貨を使用するか、現実通貨を課金することでガチャを引き、レアな女の子をゲットするのである。
っと説明はさておき、この俺、明斗が喉から手が出るほど欲しい存在。
それが今〈SSR御琴〉なのである。
この御琴。俺が1年前の桜神祭にて見た神様の美少女にそっくりなのだ。ちなみに桜神祭とはこの神舞市に年に一回桜が満開の時期に行うお祭りのことで、桜の地に舞いおりると言われる神様を祀る祭礼行事である。俺は去年の桜神祭で夜に1人この言い伝えの美少女神様に出会って、自分の彼女になってほしいという願いを叶えてもらったはずだった。夢であったようだが。
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それからというもの俺は、夢で見た美少女のことが忘れられず、日々アニメやゲーム、3次元に至るまで似た女の子を追い求め続けているのである。その中でもGFのSSR御琴は、夢に見た美少女に瓜二つで、かつ名前も同じというまさに俺が求めた存在。俺は全財産の3千円を注ぎ込み、全身全霊を込めて、その名を呼ぶ。
「こいいいいいいいいいいいいいいいいい、御琴おおおおおおおおおおおおおおお!!」
その刹那、激しい衝撃が俺を襲った。周囲の日常空間は消失し、代わりに真っ暗で何も見えない空間が広がっていた。
「なんだここは?」
俺は訳が分からないまま、その真っ暗な空間をただただ走った。
不思議だが何も見えない空間だったのに恐怖を感じなかったのだ。
走る。走り続ける。だが、その空間には何もなかった。
「いったい、なんなんだ。そうだ、GF。御琴は!」
そう思い、手に持っていたはずのスマホを探すが見当たらない。
手当たりしだい服のポケットをひっくり返してもスマホはなかった。
「こいつは詰んだかもな。」
なんて考えていると、どこからか声が聞こえる。
「・・・・ぉい・・・じゃ・・・。」
なんかちゃんと聞き取れないが懐かしい声だなと思いつつ、声を頼りに歩いて行くと
そこには、俺の追い求めていた女の子の姿があった。
長く美しい黒髪に、どこまでも吸いこまれそうな美しい瞳、上品な口元に、とても淡く美しい桜色の着物をまとった少女。
そう、御琴だった。
Continue・・・?
ごきげんよう、土手沈でございます。
この度、週代わり企画の更新を滞らせてしまい、大変申し訳ございませんでした。
サークルメンバーはもとより、ブログ読者の方々にはご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
それでは気を取り直して(自分で言うことではない気もしますがw)いちゃいちゃして参ります。続きは明日。
305開発部ログ
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正直ワロタwwwあれを続けるのかよw
割といい感じにラノベっぽいね。パロも皮肉がきいてて好きなパターン。
世界が暗転する場面がちょっとあっさりしすぎな気がする。最低でもあと2・3行は欲しい(読者の時間感覚的に)。ラノベならそこでなんかこう……主人公がボケるよね、パロとか交えたりして大げさにボケたり、アホな勘違いしたり。不思議と恐くないの描写と両立できれば最高だと思う。